サーフィンで皮膚がんリスク3倍?!紫外線によるダメージ
サーフィンで浴び続ける紫外線は皮膚がんリスクを3倍も高めるという研究結果が出ています。ここでは、サーフィンで紫外線ダメージを受けやすい理由、皮膚への負担とがんとの関係、実際の体験談などを交えてお伝えしてきます。
目次サーフィンによる皮膚がんのリスク
サーフィンは多くのアウトドアスポーツの中でも皮膚へのダメージが大きいスポーツといわれています。その大きな理由が紫外線。紫外線が与える肌へのダメージは決して美容的観点のものだけではなく、健康被害を及ぼす場合もあるのです。
2015年にオーストラリアにあるBond University でおこなわれた研究によると、サーファーの皮膚がんリスクは一般の人に比べて約3倍も高いということがわかりました。
同大学では、1,350名のサーファーを対象にオンライン調査をおこない、サーファーの悪性黒色腫※①の発生率が1.9%であることを突き止めました。(※①非常に悪性ながんの種類のひとつ)
オーストラリアの人口に対する悪性黒色腫の発生率は0.6%であることから、上述の1.9%と比べると一般人より3倍以上高い発生率であることがわかります。この数字だけを見ても、紫外線から皮膚へのダメージがいかに大きいかがわかりますね。
海の上でおこなうサーフィンは、紫外線をさえぎるものがなにもありません。普段、知らず知らずに建物や木々が緩和してくれている紫外線を、ダイレクトに浴びることになります。
また、海から反射する紫外線は20%、水中に通過する紫外線は40%、砂浜から反射する紫外線は10%と、サーフィンをしている間は常に100%以上の紫外線を浴び続けているのです。
屋内のスポーツや森林の中でおこなうスポーツ、地上でおこなうスポーツなどに比べても、多くの紫外線を浴びやすく、皮膚がんのリスクが高まるといわれています。
紫外線が皮膚に与えるダメージとは
昔から紫外線に対する注意喚起が多く出されていますが、実際に「どうして?」また「どのように?」皮膚にダメージを与えているかご存じですか?
そもそも、がんは細胞の突然変異によっておこります。紫外線は細胞やDNA傷つける作用があり、皮膚細胞の突然変異を引き起こすリスクを高めるのです。(細胞を傷つけやすい紫外線の種類についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。)
細胞は通常、一度傷つけられても自身で修復する能力をもっています。そのため、単発的・短期間に紫外線を浴びても、皮膚細胞は修復されます。日焼けやシミ、そばかすや乾燥などが残る場合がありますが、肌の奥深い細胞への大きなダメージに繋がることはあまりありません。
でも、継続的かつ長期的に強い紫外線を浴び続けることで、徐々に修復機能が追いついていかなくなります。それを繰り返しているうちに、細胞再生機能にエラーが生じ、突然変異となってがん細胞が発生するのです。
常に多くの紫外線を浴び続ける環境でおこなうサーフィンが、どうして皮膚がんのリスクが高いのかがわかりますね。サーフィンをより楽しむためにも、持続的なケアが必要なのです。
参考資料③
伝説のサーファー マーク・リチャードが皮膚がんを公表
70~80年代にかけて、4年連続でワールドチャンピオンに輝いた伝説のサーファー、レジェンド マーク・リチャード氏は2020年に自身が皮膚がんであることを公表しました。
本人がSNSを通して実際の手術の様子や症状を発信しており、地元のオーストラリアだけでなく世界中のサーファーからも注目を集めました。マーク・リチャード氏はインスタグラムの中で、手に大きなギブスをはめた写真と共に、治療について以下のように説明しています。
私は木曜日に皮膚がんを取り除く手術を受けました。はじめのうちは大きな害がないと思っていましたが、それはすぐに手術と皮膚の移植が必要な悪性腫瘍へと変わりました。
~中略~長年サーフィンをしてきたが、手の甲に日焼け止めを塗ったことはありませんでした。手がそこまで日焼けしているとは思っていませんでしたが、私は完全に間違っていました!もし外で活動することがあるのなら、紫外線対策と定期的な肌の検診を受けることがとても大切です。(和訳)
https://www.instagram.com/p/CIbb_lvLNw3/?utm_source=ig_web_copy_link
サーフィン界のレジェンドに訪れた突然の皮膚がん宣告は、ファンに大きな衝撃を与えたと共に、その体験談は多くのサーファーの意識を変えつつあるといわれています。
参考資料④
同じくオーストラリア出身の俳優、ヒュー・ジャックマンも何度も皮膚がんを治療している一人。紫外線対策の重要性を伝えています。
彼は多くのインタビューの中で、皮膚がんについての体験談を語っており、皮膚がんになった理由は小さい頃から紫外線対策をせずに海でサーフィンに明け暮れていたからだと話しています。
今でも大好きなサーフィンを楽しんでいるヒュー・ジャックマンですが、紫外線対策と定期的な検診は欠かさないそう。このように実際の体験談のもと、著名人がサーファーに注意喚起しているのですね。
紫外線大国アメリカの皮膚がん発生率
オーストラリアと並び、紫外線が強い国として知られているアメリカ。
70歳以上の5人に一人、毎日9500人ものひとが皮膚がんという診断をうけていおり、一時間に2人、皮膚がんが原因で死亡しているといわれています。
アメリカでは1960年代の半ばからビーチで日焼けを楽しむのが上流階級のあかしとして、一斉ブームが巻き起こりました。その後もアメリカの文化の一つとして、多くの家にベランダやパティオが設置され、屋外チェアに寝そべって日光を楽しむことが生活の一部となっています。
ただし、冒頭でもお伝えしましたが、紫外線が皮膚細胞にダメージを与え続けることで細胞に突然変異がおこります。
その証拠に、アメリカでは過去30年で皮膚がん患者数が急増しているのです。こうした結果を受け、近年アメリカでは紫外線対策が重要視されるようになってきました。
政府が日焼け止めの使用を促進するTVコマーシャルなども多く流れ、国民の意識が「紫外線=体に害がある」という意識が定着しつつあるようです。長くサーフィンを楽しむためにも、いかに紫外線対策が重要かということがうかがえます。
参考資料⑤
まとめ
今回はサーフィンに伴う皮膚がんのリスクと紫外線の恐ろしさについてお伝えしてきました。日本でも多くの人が楽しんでいるサーフィン。より楽しむために、ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、海外と日本では日焼け止めの成分が異なるため、肌に合わずに肌荒れを起こす人も多いです。海外先でマリンスポーツを楽しみたいときは、日本から肌に合う日焼け止めを持参するのがおすすめですよ。
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